スペシャルティコーヒーの定義
先に結論を申し上げると「スペシャルティコーヒー」にしっかりとした定義はありません。
明確に定義されているのは、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須が唯一明文化されている定義となります。
スペシャルティコーヒーという言葉は2000年ごろより耳にするようになりました。
コーヒーの従来の評価基準は、標高の高さや豆の大きさ、欠品豆の多さなど「味わい」などの評価ではなく、あくまで生産者側の評価だったのに対し、スペシャルティコーヒーは「消費者がおいしいと評価し、満足するコーヒー」であるかを軸にして評価している制度です。
世界的には1978年フランスで開催された世界コーヒー会議で初めて「スペシャルティコーヒー」という言葉が登場したのをきっかけに日本では、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が2003年に発足し、徐々に「スペシャルティコーヒー」という言葉が普及してきました。
スペシャルティコーヒー自体の定義が明確に定義されているわけではなく、日本スペシャルティコーヒー協会ではスペシャルティコーヒーを以下のように定義しています。
- 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
- 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
- カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。
スペシャルティコーヒーの定義 « SCAJについて | 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会
カッピングの評価基準
スペシャルティコーヒーとして認定されるためにはSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のカッピング・ジャッジ(コーヒー審査員)の有資格者がカッピングという手法を用いて銘柄を評価し、決定します。
具体的な評価基準は以下の通りです。
- フレグランス・アロマ・・・お湯を注ぐ前と後の香り
- フレーバー・・・風味の印象を食べ物などを例に表現
- 酸味・・・爽やかえ繊細な酸味の程度
- ボディ・・・口当たりや口の中に残るコク
- 後味・・・口や鼻腔に残るコーヒーの味わい
- 甘さ・・・甘みがあるかどうかの判断
- 均一性・・・カッピングする5杯の均一性
- バランス・・・フレーバー、酸味、ボディのバランス
- クリーンカップ・・・コーヒーのクリーンさを判断(雑味がないか)
- 総合点・・・全体を通しての判断
以上の10項目の80点以上のコーヒー豆をスペシャルティコーヒーとし、60〜79点をプレミアムコーヒー、50〜59点をコマーシャルコーヒー(スタンダードコーヒー)と呼びます。
スペシャルティコーヒーの流通量
前項の「スペシャルティコーヒーの評価基準」からスペシャルティコーヒーの流通量は以下の割合とされています。
またスペシャルティコーヒーの中でもさらにランクがあり、95点以上を「スーパープレミアムスペシャリティ」90〜94点を「プレミアムスペシャルティ」と呼ばれます。
全世界のトップオプコーヒーと言える存在ですね。
スペシャルティコーヒーの希少性
コーヒーには国際的評価会が行われており、厳しい審査を経て入賞した銘柄のみ「カップオブエクセレンス(COE)」という称号が与えられます。
COEという称号を与えられたコーヒーは高値で取引されるため、生産者もCOEを目指し、高品質のコーヒーの生産に力を注ぎますが、世界中からインターネットを通じてオークション形式で行われるためこの称号を得るのは至難の業です。
生産者の厳正な品質管理はもちろん、太陽、水、土壌、気候などの運要素も持ち合わせているため毎年同じ農家がこの称号を手に入れれるとは限りません。
ですのでその年のCOEで選ばれた農家の同じ品質が二度手に入るという保証はありません。
まさに一期一会の逸品と言えるでしょう。
スペシャルティコーヒーはすべて美味しいのか?
先に結論を言ってしまうと「No」となります。
理由として
「美味しい」の定義は人それぞれ違いますし、京野菜の高級食材を使った料理を好む人もいればご当地グルメのようにB級グルメを好む方もいらっしゃいます。
またあくまで素材に過ぎないのでどう調理(焙煎)するかで最終的には味は大きく変わります。
京野菜を使ったとしても料理の素人が調理するよりスーパーで売っている食材をプロが調理するほうが美味しいのと同じです。
生産地や豆の品種など銘柄の個性に合わせた焙煎士(ロースター)や抽出技術がすべてそろってはじめてスペシャルティコーヒーはその素材を存分に発揮できるコーヒーとなります。
当店のスペシャルティコーヒーの扱いについて
当店ではスペシャルティコーヒーの言葉自体が明確に定義されていない以上、「スペシャルティコーヒー」という文言の利用を避けております。
その代わりに前項に説明させていただきましたとおり、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須が唯一定義されている事項になるため、
当店では各商品詳細ページに「トレーサビリティ」という項目にてその銘柄や生産国の追跡可能なレベルや品質管理について記載しております。ぜひ銘柄をお選びの際にご参考にしてください。